旅慣れた人はご存じかと思いますが、JRでは一定の条件を満たすと、途中下車が可能です。
今回、途中下車で旅をしようと調べたら、細かいルールがあることを知ったので、まとめてみました!
※私鉄も途中下車が可能の場合がありますが、会社によってルールが様々なので今回はJRについての話題です。
🚏 途中下車とは
「途中下車」とは、乗車券に記載された区間の途中にある駅で、一度改札口の外に出ることを指します。単に列車から降りるだけではなく、改札を出ることを途中下車と定義します。
例えば、、、
東京から新大阪まで行く際に、途中の名古屋で降りて、ホームにあるうどん屋さんできしめんを食べて再度列車に乗る場合は、途中下車ではありません。
(この場合は降車と呼ぶそうです)
🎫途中下車ができるきっぷ
通常の普通乗車券の場合、片道の営業キロが100kmを超える乗車券であれば、原則として何回でも途中下車が可能です。ただし、一度乗り過ごした駅に戻って途中下車することはできません。
営業キロとは?
「営業キロ」とは、鉄道やバスなどの交通機関において、運賃計算の基準となる距離のことです。地図上での距離(実キロ)と必ずしも一致するわけではなく、路線の特性や地形、採算性などを考慮して設定されているそうです。
営業キロは、運賃計算や時刻表での表記などに用いられています。
営業キロの調べ方
営業キロは、『乗換案内』など、インターネットの路線情報サービスで簡単に調べることができます。
下の画像は、Yahoo!の『乗換案内』で新潟駅から大宮駅(埼玉県)を検索したものです。
画像中央、金額の右側に303.6kmと表示されています。これが営業キロにあたります。

新潟から大宮まで101km以上あるのは、常識的に当然ですが・・・
途中下車を考えてきっぷを買う際に、目的地まで101kmあるかどうか微妙な場合、この方法で調べると良いと思います。
※ただし、この後記載する『大都市近郊区間』に気を付けなければなりません。
🎫途中下車ができないきっぷ
片道の営業キロが100kmまでの乗車券は、基本的に途中下車ができません。
料金券と一部の企画乗車券
特急券や指定席券、ライナー券など、運賃とは別の料金券は途中下車できません。
また、セットプラン用の特別割引切符や、企画乗車券(トクトクきっぷ、回数券など)は、途中下車が制限されているか、できない場合があります。これらのきっぷは、券面に記載された途中下車可能な駅以外では原則として途中下車できません。
次の画像は、金券ショップで購入した新幹線の乗車券・特急券です。
おそらく、回数券をバラ売りしたもので、○に企のマークが記されています。
途中下車不可と書かれていました。

ICカード乗車券
SuicaなどのICカード乗車券(IC定期乗車券の券面区間内を除く)や、「タッチでGo! 新幹線」での利用も、途中下車はできません。改札を通るたびに運賃が精算されるためです。
『大都市近郊区間』内のみの乗車券
東京、大阪、福岡、新潟、仙台などの『大都市近郊区間』内のみを利用する場合の普通乗車券は、たとえ101km以上の距離であっても途中下車はできません。
例えば、次の画像は北千住-水戸の乗車券です。
本来なら、北千住駅から水戸駅の営業キロは122.8kmのため途中下車できそう!!と思いますが、実際の乗車券には「下車前途無効」と記載されています。
※下車前途無効→きっぷに記載された区間の途中の駅で改札を出た場合、そのきっぷが目的地に到着していなくても無効になる(途中下車できない)ことを意味します。

『大都市近郊区間』とは
大都市近郊区間とは、東京・大阪・福岡・新潟・仙台の各都市圏に設定されている、JRの旅客営業規則に基づく特別な区間のことです。
次の図は東京の大都市近郊区間の路線図です。
前述のとおり、北千住も水戸もこの範囲内にあるため、たとえ101km以上あっても途中下車はできません。

🚃途中下車のメリット
途中下車のメリットは、乗車賃が、乗車するごとに乗車券を購入するよりも安くなることです。
たとえば、東京を出発して名古屋城を見学し、京都の神社を参拝し、新大阪で1泊する場合です。

乗車するごとに乗車券を購入すると、
東京ー名古屋 \6,380
名古屋ー京都 \2,640
京都ー新大阪 \580
合計\9,600
となりますが、東京ー新大阪で一括購入し、途中下車すると
\8,910となり\690お得になります。
たったの690円・・・とは思いますが、もっともっと長距離のきっぷを購入し、何日もかけてたくさん途中下車すれば、ずっとお得になります。
🚃途中下車のデメリット
途中下車のデメリットは、特急券は途中下車できないことです。
さきほどは、東京から名古屋、京都で途中下車し、新大阪まで行く乗車券料金のみを比較しましたが、特急券はその都度購入しなければなりません。
特急券の料金は、次のようになります。

京都ー新大阪間は、よほどのことがない限り新幹線を利用することはないと思いますが、
乗車のたびに新幹線特急券(自由席)を購入すると、
東京ー名古屋 \4,180
名古屋ー京都 \2,530
京都ー新大阪 \870
合計\7,580
となり、東京ー新大阪の特急券\4,960と比べるとかなり割高となります。
なので、
『目的地に到着するまでに寄り道をする』
という考えではなく、
『たくさんの目的地を経由して最終目的地へ到着する』
という考えで途中下車をしないと、メリットは感じられないかもしれません。
🚶♂️途中下車の疑問点
実際に途中下車の旅をしてみて、「この場合はどうなのかな?」ということがあったのでまとめてみます。
🗓️途中下車きっぷの有効期限は?
途中下車できるきっぷは最低2日間使うことができます。
営業キロに応じて有効期限は長くなり、次のようになります。
営業キロ | 200キロまで | 400キロまで | 600キロまで | 800キロまで |
有効期限 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 |
200キロごとに1日追加となるため
営業キロ÷200km+1日=有効期間(小数点以下切り上げ)
・・・となります。
また、乗車中に有効期間を過ぎてしまっても、それ以降途中下車をしなければ、表示された最終駅まで使用できます。
この写真は、私が今までで一番長い距離で途中下車した時のきっぷです。

新幹線で鹿児島中央から東京の営業キロは1463.8kmのため
1463.8÷200+1=8.319
小数点以下は切り上げのため、有効期限は9日となります。
きっぷにも、11月21日から11月29日まで有効と記載されていますね。
※上記のきっぷに書いてある、券面表示の都区市内各駅下車前途無効とは、『東京都区内では途中下車できません』という意味です。
途中下車の旅では、長距離のきっぷでたくさん途中下車することが一番の魅力です。
と、なると、何日か時間をかけて旅をすることになります。
なので、あらかじめ最終目的地までのきっぷの有効期限がわかると、旅の予定が立てやすくなりますね!!
👟途中下車した駅ではない駅で乗車できるのか?
途中下車した場合、下車した駅か、それよりも先(券面の最終地に近い駅)で再乗車することができます。
たとえば、東京から新大阪までの途中下車可能な乗車券を所有していて、
米原で途中下車し、友人の家に行ったら、友人が京都駅まで車で送ってくれた!!
・・・という場合、同じ乗車券で京都から再乗車することができます。
ただし、米原ー京都間は放棄することになります。あとで米原へ戻って、京都まで乗車することはできません。

また、途中下車した駅よりも、出発地点に近い駅に後戻りして乗車することはできません。
京都で下車して友人の家に行き、友人が米原駅まで送ってくれた場合、券面の最終地とは逆方向になるため乗車することはできません。

👮♂️自動改札を通れるのか?
基本的に、途中下車でも改札は通れます。
古い情報だと、途中下車の際は有人改札を通るようにとありますが、現在(2025年)ほとんどの自動改札が途中下車対応になっているようです。
これは、使用後の鹿児島中央から東京までの乗車券です。
使用前の写真と比べると、(もう7年も保存していることもあるけど)だいぶ疲れてきっぷの角が丸くなっています。

このときは、
鹿児島中央で乗車し、
久留米で途中下車・乗車、
岡山で途中下車・乗車、
姫路で途中下車・乗車し、
東京(北千住)で最終下車した際に「きっぷを記念に下さい!!」と言ったら、『無効』のスタンプを押してくれました。
姫路駅のみ、途中下車の際に自動改札に入れたらピンポーンと鳴ってきっぷが出てきてしまい、改札を出ることができませんでした。
(2018年のことなので、現在はどうかわかりません)
なので、姫路駅では有人改札で途中下車し、有人改札で再乗車しました。
→右上の青いスタンプが姫路駅の改札で駅員さんが押してくれたものです。
よく見ると、鹿児島中央と久留米は同じ文字で出場・入場と印字されていますが、岡山は「途中下車」と印字され、入場は何も書かれていないし(穴が乗車のサインかも・・?)、姫路は自動改札対応していなかったし・・
自動改札にも種類があるのかもしれません。
私はかなり大きな新幹線駅でしか途中下車していないので、小さな駅や、ローカル線の駅で途中下車する場合、不安ならば有人改札を通ると良いかなと思います!
📝途中下車のまとめ
- 営業キロ100㎞を越えるきっぷは途中下車ができる
- 途中下車とは、単に列車を降りることではなく、改札を出ることである
- 営業キロは地図上の距離とは異なり、『乗換案内』等のサイトで調べられる
- 大都市近郊区間内では、100㎞を越えても途中下車できない
- 一部の回数券や企画乗車券、IC乗車券では、100㎞を越えても途中下車できなかったり、制限があったりする
- 途中下車できるきっぷには有効期限がある
- 途中下車できるきっぷは、基本的に自動改札を通ることができるが不安な場合は有人改札を利用する
まだまだ知らないこともありますが、途中下車のルールを知って、旅を楽しみたいです!
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